即興小説バトル反省(見る)
【即興小説トレーニングの推敲】
今回直すのは『見る』
夕方まで釣りをしていたので、釣りの話です。
良くなかったところ
「その後、海風が声を吸収してしまったが、声の残り波みたいなものがまだ漂っているような気がした」
『その後』は要らない。『海風が吸収する』は、日本語が変だ。
『その声は海風に掻き消されたが、暫く僕の頭の中で反響していた』かな
「海鳴りのように捲し立てて喋った」
日本語が変。
海鳴りの音はこんな感じ。
『海鳴りのように身体の芯に響いた』かな。
「SEの仕事をクビになった」
どういう人間がクビを切られるのか、きちんと知ったほうが良いと思う。
人間は自分の経験を通して小説を読む。読者の経験にできるだけ近づけるよう、普遍的なことを書くのがいい。
「大学の授業でそんな話を聞いたことがある気がした」
『見ようすると見えなくなる』という話のことであって、仕事のことではない。勘違いさせるので注意。
こういう書き忘れはよくある。後で書こうとして飛ばしてしまい、結局そのままにしてしまう。プログラミングのIDEみたいにTODOをつける機能はないので、メモ帳にでも書いておくしかないだろう。
「海は複雑な色で交じり合っていた。青と赤にこんなにたくさんの種類があるのかと、僕は感心した」
このゴマカシ描写は良い閃きだと思ったが……しっかり書くべきだったかな?
「すると、急に頬にあたる風がビリビリと訴えかけ出した」
唐突すぎる。
『何分かそうしていると、頬にあたる風が急に強くなった』かな。
海には物や壁が少ないので、風が吹くと部分的な圧力を感じることはない。もっと大きな範囲の圧力を感じるものだ。
「僕は自分の意志で、働きがいよりお金を選んだ。昔も、今も、これからもそうだ」
クビになったときの説明で「働きがいよりお金」と、きちんと書くべき。
やりたくない仕事だったとか、親睦会に行くのはお金が勿体無いとか。
「では……貴方が私を監視するのですね」
僕は足元に力を込めて、直ぐに返事をした
『そうしないと、震えて声が出そうになかったからだ』を追加。
「ふと隣を見ると、若者が立っていた。彼は僕に気づくこともなく、靴と靴下を脱いだ。そして、靴の中に靴下をつっこむと、綺麗に揃えた。そして、薬を飲み、海へと飛び込んでいった。しかし、あの若者は、海の中へは入っていけないだろう。そんな気がした」
靴下のためだけに書いたトコ。自殺する時って、靴下脱がないよね?
ラストの3行は変えたい。
仕事よりお金を重視する主人公を揺さぶりたい。
お金が人の死によって賄われてることを知れば、多少は考えが変わるはず。
『与える物が無い人間は奪われ続ける』と主張するのも面白い。