物書き専用奈落
【即興小説トレーニングの推敲】
今回直すのは物書き専用奈落
「お題:早い奈落 必須要素:アクション」
お題と必須要素
奈落ですが、舞台劇について書くと絶対被るなと思ったけど、一人しかやってなかったですね。
奈落を舞台装置だと思ってる人が少なかったのか?
ま、自分も名探偵コナンのニューヨーク回のおかげでたまたま知ったのですが。
即興小説のお題で「○○な☆☆」がでたら、○○と☆☆を分けると良いです。
そして、どっちかについて書き始める。
もう片方は後で使う。
今回の「早い奈落」は、「早い」から考えました。
まず、料理終わるより「早く」電話がかかってくるシーンを書きました。
そして、電話で「奈落」に招待される話に持って行きました。
今回はあまりストーリーを考えずに作ったので、文字数が1885字に増えてます。
後半の、実体験(松阪城への観光)を混ぜたあたりから筆が乗りました。
(前半の会話文は苦労しましたが……)
本文について
今回はねじまき鳥クロニクル風にスタート。
料理中に知らない女から電話がかかってきます。
順路を登り、彼女の指定した「物書櫓跡」にたどり着くと、ひんやりした空気が頬を打った。
月が、青黒い空にぽっかりと大きな穴を空けていた。
他動詞を使った表現。
他動詞は小説に躍動感をもたらします。
自動詞だと「肌寒さを感じた」「月が浮かんでいた」で、物足りない。
このテクニック、私は「擬人他動詞」とよんでいます。
擬人化のリアル感に、他動詞の躍動感を混ぜることで、印象的な表現が出来上がります。
『早く出られる』と思って書くのと、『1時になるまで出られない』と思って書くのとでは全く違います。
一応、「おおっ」と思わせるセリフが来たので、小説にはなってると思う。
その後の「確かに、それは僕の小説観にはなかったものだ」は余計だったかな。
もちろん、こんなところで「めでたしめでたし」というわけには、いかない。
僕はこの後、奈落に入り、不思議な体験をしなくてはならないだろう。
不思議な体験とは、普段は上手く書けない小説がなぜか上手く書けてしまう体験だ。
なぜ上手くかけたかと言うと、周りに何もないからだ。
周りに何もないとき、人は自分の記憶を頼りに文章を書くしかない。
そうやって、自分の記憶のみで書かれた文章というのは、必ず筋が通っている。
なぜなら、記憶から外に出る時は、筋が通っていなければならないからだ。
最後に、主人公は奈落なしでもこの領域に潜れるようになる。
真の集中を手に入れるのだ。