20歳から始めた読書感想文

本の感想や日記をのせてます。

即興小説バトル

 『即興小説トレーニング』というサイトがある。

 お題に適した小説を、制限時間以内に書くというものだ。

 

 このサイトで、3ヶ月ほど前から『即興小説バトル』が始まった。

 参加者全員が同じお題で執筆し、作品の優劣を競うというものである。

 これにより、上手く書けないことをお題のせいにしにくくなった。

 即興小説の唯一のメリットが消えた。

 

 また、バトルに参加した作品は読まれやすくなる。

 これにより『面白くない小説を書いたかもしれないが、読んだ人はいなかったはずだ』という言い訳も使えなくなった。

 残された言い訳はあと7万5千くらいしか残っておらず、老後までもつか心配である。

 

 

 さらに不快なことに、上手くない作品を書いてしまっても、『もしかしたら評価されるかも』という期待を抱いてしまう。

 カープファンが毎年「今年はCSに行ける」と思うのに似ている。

 私は巨人ファンで良かった。

 

「上手くなくても誰かが認めてくれる」という浅はかな欲望は、誰もが持っている。

 仕事を思うように評価してくれる上司や、成績を思うように評価してくれる先生などは、ぜひ欲しいところだ。

 しかし現実には、正確に評価してくれる人しかいない。

 正確に評価されたら困る人がいるということを、評価する側は理解していないのだろう。

 

 しかし、いくら言い訳をしても優勝できない。原因を探して潰していこう。

 今回の作品はこれだ。

 

抜けるところてん

 お題:ひねくれた雑踏 必須要素:ところてん

 

「ついに完成したぞ。素晴らしい食べ物が出来た」

「これですか、博士? 普通のところてんのようですが……」

「こいつはな、『どんな人混みでもツルっと抜ける身体』になる食べ物、『所転(ところてん)』だ。

 人混みに入ると、進みたい方向にも進めなくなるだろう?

 でも、この『所転』があれば、どんなトコへでも、転がるようにスイスイ進めるんだ」

「素晴らしいですね!!

 どんな風になるのか、早速見せてもらえませんか?」

「え、今すぐか? それはちょっと無理だな」

「? どうしてですが?」

「近頃便秘気味でな。食欲が……」

 私は、笑える小説を書いたつもりだった。

 しかし、評価してくれた人は0人だ。

 これにより、気品漂う作家が気品のある文章を書いてもギャップは生まれないことが判明した。

 

 評価されない主な原因は「ところてんが便秘に効く」という伏線を書かなかったことだろう。

 そもそも、「便秘に効く」というところから「人混みを抜ける」ことを思い付いたのに、なぜ書き忘れたのだろうか。

 確かに、最初の目的を忘れることは良くある。

 例えば、就職するために専門学校に行ったのに、就職するのを忘れる場合だ。

 (忘れただけで、出来なかったわけではない)

 

 また、短く書いても読者数は増えないことが判明した。

(実験しただけで、長い文章が書けなかったわけではない)

 私の場合、長い小説は苦手なので読まない。

 しかし、そういった人は少数なのだろう。

 

 このように検討していけば、優勝する日も近いかもしれない。

 できるなら、カープが優勝する前にしたいものである。