20歳から始めた読書感想文

本の感想や日記をのせてます。

飲酒運転免許

「検問です」

 サークル仲間との飲み会の帰り道、警察に呼び止められ、ブレーキを踏んだ。

「飲酒運転の検問です」

 俺と同い年くらいの警官に促される前に、財布から免許を取り出して見せた。

 途端に、警官に笑顔が戻った。

「あ、免除ですか。どうぞ」

 再びアクセルを踏む。俺がさっき見せたのは飲酒運転免許だ。

 この免許を持ってれば、飲酒運転をしても罪にならないのだ。

 飲酒運転が罪になるのは「飲酒中は判断能力が低下する」からだ。

 しかし「運転手の判断能力を他人が判断できるわけがない」という訴えが様々な場所で起こり、社会問題となっていた。

 そこで、この飲酒免許ができたってわけだ。

 これを持っていれば、判断能力アリとみなされ罪には問われないのだ。

 

 実際、多少の飲酒では交通事故を起こすことはない。

 要は運転テクニックの問題なのだ。

 飲酒運転が問題になったのは、下手な奴が飲酒したときにたまたま事故を起こしただけだと思う。

 この免許をとってよかった。

 取得に30万かかったが、おかげで帰りの心配をする必要がなくなった。

 もし取っていなかったら、タクシー代が余計にかさんだに違いない。

 家に着く。今日も事故はなかった。

 まぁ、当然だな。

 俺はいつものようにテレビを付けた。

「ニュースです。今日未明、飲酒運転の車が歩行者2人をはねました。

 運転手は、飲酒運転免許を持っていなかった、とのことです」

 まったく、馬鹿なやつだ。

 免許をとっておけば少しは罪が軽くなったのに。

「なお、裁判所の発表によると、運転手は当時意識が朦朧としており、責任能力がないため罪には問えない、とのことです」